ビジネスの場面でよく耳にする「~させていただきます」。Webサイトの原稿を取りまとめているときもこのフレーズがよく登場します。丁寧な印象を与えようと多用しがちですが、使い方を間違えると逆に相手に無礼な印象を与えてしまうこともあるようです。
Webサイトは多くのユーザーが目にします。そんな中で使い方を間違えた日本語表記があると、せっかく良い内容のページでも会社としての信頼性が薄れてしまうかもしれません。
私も日ごろ何気なく使っている言葉が、実は間違った使い方をしているということがよくあります。正しい日本語表現を使うためにも、自分への戒めも込めて今回はこの「~させていただきます」の表現にフォーカスを当てて意味合いを理解していこうと思います。
「~させていただきます」の意味
「~させていただきます」を国語辞典で調べてみると、
「~いただく」「~頂く」(謙譲語)
自分自身が行うことを、相手の許可を受けて行い、そのことで自分が恩恵を受けるという事実や感謝の気持ちがある場合に使われる。
というのが本来の正しい使い方のようです。
正しい「させていただきます」の使い方例
スケジュールを変更させていただきます
「許可してもらえるとありがたい」「変更したい」という気持ちが込められています。
僭越ながらごあいさつさせていただきます
聴衆の「許可を得てあいさつする」という意味が込められています。
間違った「~させていただきます」の使い方
間違った使い方は、いくつかのパターンに分けられます。
文法間違いパターン
(誤)拝見させていただきました
(正)拝見しました
「拝見」は謙譲語で、「~いただきます」も同じく謙譲語となるため「二重敬語」となり、文法上の間違いです。「拝見いたします」も「いたします」が謙譲語のため、文法的には間違いです。
過剰丁寧パターン
(誤)本日はお休みさせていただいております
(正)本日は休暇をとっております
休んでいる事実を謙虚に伝えるだけなら、「させていただく」は必要ありません。また、だれを立てているのかが分からないパターンでもあります。
無礼な印象パターン
(誤)説明させていただきます
(正)説明いたします
頼んでもいない上に許可も得ないで一方的に宣言されるという、強引な印象になってしまいます。相手に対しての配慮や気配りが欠けているという具合に受け取られる可能性もあります。
クドい遠回しパターン
(誤)本日中にお送りさせていただきますので、ご確認いただけますでしょうか
(正)本日中にお送りいたしますので、ご確認ください
言葉にすると舌を噛んでしまいそうな遠回しの言い方です。過剰な丁寧と二重敬語で、読んでいる側からするとクドすぎる印象を与えてしまいます。こうなると、でたらめ丁寧表現の押し売りとなってしまいます。
問題となっている「させていただきます症候群」
最近では「させていただきます症候群」と呼ばれるくらい問題にもなっています。とりあえず「~させていただく」と語尾に付けておけば、丁寧な感じで失礼にはならないという勝手な意識が働くため、何かと便利な言葉と勘違いされています。世代に関係なくテレビなどメディアを通じて誤用が広まっているようです。
「させていただきます」が連発された文章を見てみると、「長い・回りくどい・読みにくい」の3拍子で結局何も伝わらない…という事になってしまいます。読んでいる側にとってもあまりに連発されると、丁寧というよりは「イラっ」と不快感を与えることになってしまうので注意すべきです。
「させていただきます」の解消には「いたします」
「いたします」は、自分がある行動をとることを単に宣言する表現である「~する」を丁寧に述べた謙譲語です。相手に許可を得る必要がない場面で使用するのに適切です。
「させていただきます」より「いたします」を用いた方が、ハッキリと引き締まった言葉遣いになりカッコ良いです。シーンにもよりますが、回りくどい印象よりも言い切れる人間の方が信頼感も大きいのでは無いでしょうか。
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